若鶴マンションの空間デザインをしていただく、rhythmdesignの井手さんにコンセプトなど伺いました。
住人に暮らしをデザインする余地を残しておきたい。
(空間コンセプト)
設計する上で考えたのは、一般的なマンションのプランで見られるような、最大公約数をとることはしたくありませんでした。つまり、すべてが作り込まれていて10人が10人ともいい!という万人受けする空間にはしないということ。
そのためにも住む人達が暮らしをデザインできる余地を残した空間を作れたらと考えたのです。
間取りは、入居者のライフスタイルに合わせて変えられます。
間取りは元々3DKだったのを、1Rにもできるし、2DKにもなるよう、フラットなカーテンで自由に仕切れるようにしました。家具など使えば、3DKにもなります。思いっきりプライベートな部屋を一室作っておいて、あとは全部開放してパブリックスペースとして使ったりと、入居者のライフスタイルに合わせて変化させられることを重視しました。
■rhythmdesignの事務所にて。
時折冗談も交えながら、空間コンセプト、仕事への取り組みなど詳しく話して下さる井手さん。
職人の技が隅々まで行き届いている、若鶴マンションの良さを活かす。
あと、若鶴マンションがもつ良さを最大限に活かすことも考えました。畳を剥がすと床の下地はモルタルなんですが、平滑で完成度が非常に高い。それは旧建築の良さでもあり、見えない部分でもしっかり職人の技が行き届いています。だから畳やフローリングなど敷かず、それをそのまま床として使うことにしました。壁や天井は白にしているので、全体の印象はギャラリーのような感じでしょうか。
普通の賃貸マンションでは規制等で諦めざるをえないことがたくさんあります。でも、生活者の想像するライフスタイルを若鶴マンションでなら叶えることができるのです。
※このインタビューは、201号室設計時に行ったものです。他の部屋については、デザインが異なります。
「何もしないデザイン」というデザインもあると思います。デザインというと装飾的なものをイメージすると思いますが、そうではなく、生活者が「ここをこう使いたい!」「ここに何を置きたい!」という想像をかきたてるシンプルさを持たせ、その想像をさりげなくサポートする環境や関係性をデザインしたいと考えています。