空き店舗や歩道が通りににぎわいを生む、まちづくりの自立経営を模索中 メインストリートから発信する「歩いて楽しいまち」博多の新しい表情


1日約40万人が利用する九州最大の駅・博多駅と、九州最大規模のショッピングモールである「キャナルシティ博多」をつなぐ「はかた駅前通り」。
博多のメインストリートとなるこの通りで、空き店舗や歩道を活用した期間限定のカフェが、数回にわたって開かれていることをご存知ですか?


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2017年3月に11日間限定でオープンし、通りをにぎわせた
「HAKATA STREET Bar(ハカタストリートバル)」。テレビ等でも取り上げられ反響を呼びました



博多のまちづくりの大きな一歩となった九州新幹線の開通と駅ビルの開業から4年間の構想を経て、2015年2月から実施されているこの取り組み。 博多に関わるさまざまな企業で構成される「博多まちづくり推進協議会」が主催し、アナバプロジェクトを運営する「株式会社ダイスプロジェクト」が企画や戦略サポート、広報、空間デザインから運営までをトータルプロデュースしています。

アナバプロジェクトでは計4回の経緯を振り返りながら、空きスペースの活用の可能性と、まちをにぎやかにするしかけを紹介します。



歩いて楽しいまちをつくりたい。
空き店舗を活用したカフェは地権者と事業者の出会いの場でもある


取り組みの舞台である「はかた駅前通り」は、2つの大きな商業施設をつなぐメインストリートです。
その一方で、ショッピングを楽しむ場所ともゆったりと足を休ませる場所とも少し違う、オフィス街の印象があるのもまた事実。

この通りを「歩いて楽しい」通りへ活性化させようと、まずは5日間の”社会実験”として実施したプロジェクトが、2015年2月の「ハカタリノベーションカフェ」です。
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第1回目の「ハカタリノベーションカフェ」外観。以前はコンビニだったという空き店舗がリノベーションにより生まれ変わりました
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店内には暮らしにまつわる雑貨やまちづくりに関するパネルが展示され、
ゆったりとコーヒーを飲みながら
博多のまちづくりにも関心を持ってもらえるようなしかけです
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こちらがはかた駅前通り。オフィスビルが目立つこの場所では、気軽に一息がつけるカフェや
足を止めて立ち寄るショップなどがまだまだ少ないのが現状です



5日間という短い期間ながらも確かな手応えを得て、第2回は1ヶ月という長い期間で開催しました。
「カフェのように人がにぎわう空間をつくることによって、周りのビルやエリアの価値も高まる。」
そんな狙いが定められたこのプロジェクトはここを利用する人だけではなく、ビルオーナーや事業者にとっても大きなメリットのある取り組みです。
福岡市内の飲食店と雑貨屋、本屋に出店いただいたハカタリノベーションカフェは、事業者にとってゆくゆくの出店を考えていただくチャンスであり、地権者にとっては「自分の持っている空きスペースもこんな風に活用できそうだ」と思ってもらうきっかけづくりであり、さらには双方が出会うための場所でもあります。

連日まちづくりに関わるさまざまな人をゲストに開催したトークイベントには、周辺のオフィスで働く方々や学生などが集まり、会場は立ち見が出るほどの賑わいとなりました。
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カフェ外観。以前はレンタカー屋さんだったという空きテナントを解体し、
博多まちづくり協議会さんや学生さん、地域の方々とDIYで作り上げた空間です
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カフェ内装。輸送用のパレットを資材として使い、
テーブルや椅子、壁面までをDIYでつくりました


国家戦略特区の活用で歩道にもカフェを出店!
利用者から通りのニーズが見えてきた


大盛況の1ヶ月を終えた2度目のハカタリノベーションカフェ。
その翌月から新しく始まったのは、それまで開催場所となっていた空き店舗ではなく、はかた駅前通りの歩道を舞台とした「HAKATA STREET MARKET(ハカタストリートマーケット)」です。
国家戦略特区である福岡市の道路占用事業として開催し、また公共空間や空き地活用の取り組みが増えていることもあり、全国的にも注目を浴びたこのプロジェクト。 約1ヶ月間のコンテナカフェ「HAKATA STREET CONTAINER(ハカタストリートコンテナ)」の設置と、食を中心とした福岡各地のお店が出店する「はかた駅前マルシェ」を、週末の4日間に同時開催しました。
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博多の店舗が出店したコンテナ型のカフェ。ドーナツやコーヒーを提供し、通勤途中の方が多く立ち寄ってくださいました



確かな手応えとして感じられたのは、カフェ周辺のオフィスに勤める方が、常連となって利用してくださったこと。外国人観光客の利用も多く、急遽福岡市のマップを設置するなど、通りに求められるニーズもわかってきました。

同じく歩道を使った取り組みとして、2017年3月には「HAKATA STREET Bar(ハカタストリートバル)」を開催しました。 ビル建て替えの期間中、駐車場となっていた民有地の一画も一体的に利用したこの取り組みは、新しい土地活用の可能性をも広げたように思います。
開催した11日間のあいだでは、昼夜問わず外国からの観光客やスーツ姿の方などで賑わいました。
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心地よいソファが設けられたラウンジ。
入りやすくゆったりとくつろげる空間はまるでリビングのよう。
ここだけ見ると、とてもオフィス街の一画とは思えません
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こちらは夕方の様子。30mのバーカウンターには、博多を拠点とする
5つの飲食店が出店しました。夜には酒屋さんによる日本酒や
焼酎の販売もあり、「仕事帰りに一杯を」と足を止める方も多かったよう

今あるものをつかって創る。
続けるために必要な「自立経営の仕組みづくり」



2015年のハカタリノベーションカフェに始まり、ご紹介した一連の取り組みは少しずつ進化しながら、今後も開催を続けていきます。
そのためにも必要なのは自立経営の仕組みづくり。いくら素敵なイベントを行っても、仕掛ける側が疲弊してしまっては長く続きません。 2020年度をめどに歩道を拡張し、イベントスペースとして活用しやすくなるはかた駅前通りでは、出店料や広告料、売上げでイベント経費をまかなうほか、次の企画の資金につなげる仕組みづくりも、継続的に検討しています。

それぞれに新しい試みもありながら4つの取り組みに一貫しているのは、「今あるものを最大限に活かす」こと。
空き店舗や歩道の活用といった意味はもちろん、各取り組みで用いた資材の転用も行っています。無理に新しくつくらない方法は、稼ぐしくみづくりにもつながっていくはず。
社会実験としてはじまったこの取り組みが定期的に開催されることで、はかた駅前通りが「歩いて楽しく」なるのも遠い未来ではなさそう。 通りにはすでに、外観も料理も素敵なカフェレストラン「GARB LEAVES(ガーブ リーブス)」さんが出店するなど、賑わいの種が芽を出しています。
「はかた駅前通り」という1つのメインストリートから、これからの博多の新しい表情が見えてきそうです。

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ハカタストリートバルにご出店いただいたマヌコーヒーさん、ケンジーズドーナツさん。「博多を盛り上げよう!」との思いに賛同くださり、たくさんの方々の協力によって開催されています




各プロジェクトの様子を、WEBマガジン「アナバナ」にてご紹介しています。こちらも合わせて読まれてみてくださいね。

▽第1回ハカタリノベーションカフェ
「ハカタリノベーションカフェ5日間限定オープン」
https://anaba-na.com/7434.html

▽第2回ハカタリノベーションカフェ
「特集 ハカタリノベカフェ2015秋」
https://anaba-na.com/feature/cafehakata

▽ハカタストリートマーケット
「はかた駅前通りではじまる次なる実験とは? 1ヶ月限定のコンテナショップと福岡の食が集うはかた駅前マルシェ開催!」
https://anaba-na.com/11192.html


パブリックスペースの活用アイデアを発信する「ソトノバ」さんにも取り上げていただきました。

▽ハカタストリートマーケット
「福岡・博多の1ヶ月限定のストリートコンテナショップ!そこに見る新たな歩道活用法!」
http://sotonoba.place/20160113hakata_containerstreet

▽ハカタストリートバル
「グランピング的ストリート活用!? 福岡・はかた駅前通りに期間限定のバル出現」
http://sotonoba.place/170310-20hakatastreetbar

今後の動きは博多まちづくり推進協議会ホームページあるいはアナバプロジェクトFBページをご覧下さい。


(編集部 天野)